スポーツに関心がある方に限らず
「筋力トレーニングしすぎた結果、身体が大きく重くなり動作が遅くなる・・・」
のような話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
まず、そのような状況が本当にあるのでしょうか?
もしあるとしたら本当に筋力トレーニングが原因でしょうか?
そもそも筋力トレーニングで体重は増えるのか?
はじめに、感じるではなく、物質としての体が大きくなる(体重が増える)ことは筋力トレーニングだけではおきません。体の大きくなるには十分な食事が必要です。この段階で、少なくとも筋力トレーニングが原因と断言するのは無理があるというのは理解していただけると思いますが、もう少し考えてみましょう。
体重が増えた以上に筋力が向上しているか?
体重とトレーニングで扱う重量の関係を考えたことがありますか?
トレーニング開始時に体重50kgで50kgの重りを挙げていた方が、トレーニング開始と同時に食事も増やしたところ、2ヶ月後に以下のように体重とトレーニングで扱う重量が変化した場合について考えてみます。
体重:50kg→55kg、重り:50kg→52.5kg
体重比(重り/体重)でトレーニング前後を比較してみると
トレーニング前:50/50=1
トレーニング後:55/52.5=0.95
体重比:1→0.95
体重当たりの挙上重量は下がってしまった!
このようなケースでは2ヶ月前より重いものを持ち上げられるようになり、トレーニングの成果があらわれたと喜んでいても、増えた体重に見合うだけの筋力の向上がないため、いざ走ろう(動こう)としたらタイトルのように身体が重く感じる可能性は考えられます。
体重が増えすぎているのは、筋力トレーニングのせいとは言えませんよね?
強いて筋力トレーニングのせいと考えるとすれば、筋力トレーニングの方法が適切ではなく筋力の向上幅が小さいとは言えるかもしれませんが、増え過ぎた(向上分に比べて)体重が問題なら、食事のコントロールと考えた方が良いですね。
それでは、筋力トレーニングのせいと言われないためには、どのような変化をおこせると良いのか考えてみましょう。
体重当りの挙げることができる重量を向上させることが大切
単に身体を大きくしたい人(見た目重視)でなければ、重量だけではなく体重当りの挙げることができる重量の向上を重視する必要があります。体重50kgの人が以下のように変化した場合、向上したと言えるわけです。
体重:50kg→53kg 重り:50kg→70kg
体重比:1→1.3
このような成果を得ることができれば、少なくとも重く”感じる”ということは生じないと思われます。
ただ、これが直ぐにタイム、球速、飛距離などスポーツの記録が向上するかは別の問題です。
筋力やそのバランスが変われば、感覚も効率、スポーツでのフォームもかわる
筋力トレーニングにより筋力の向上や弱いところが改善されれば感覚も変わります。
筋力トレーニング前が筋力が弱い部分を補うフォームだった場合、筋力が改善したことを活かすフォームに変わらなければ、せっかくの体を生かしきれないというケースもあるはずです。向上した筋力など身体能力の向上を生かすためには、スポーツでのフォームなどをあらためて最適化する必要があると考えられます。
目的に合った適切な筋力トレーニングをおこなうこと
筋力トレーニングの方法が目的に対して適切ではなく、筋力のバランスなどを悪い方に変化させてしまうということもないわけではありません。何も考えずに筋力トレーニングを行えば良いというわけではないということは理解しておく必要があります。見た目を重視した筋力トレーニングと、運動のための筋力トレーニングは同じではないということですね。
最後に、それ以外にも体が重いという場合もあるかもしれません。
急激にトレーニング量を増やしたため、能力の向上より疲労の影響が大きい
トレーニングが習慣になっていない方が、短期的に追い込むようなトレーニングを実施したようなケースです。
普段からトレーニングを計画的で継続しておこなわれている方と比べ、トレーニングを急に増やしたことによる疲労が強く残っている状況で競技の練習をおこなリます。そのため筋力トレーニングで向上した能力よりも、一時的な疲労の影響の方が大きく、ポジティブな反応や感覚にならないことが考えられます。
まとめ
筋力トレーニングだけでは体重は増えることはなく、食事を増やさないかぎりは増えません。体重別の階級で競うスポーツ選手は、重いものを挙げられる(外に仕事をした)分だけ体重が増えてしまっては困りますよね。何のために筋力トレーニングをしているのか忘れず、そのための適切な方法でおこない、食事も目的を考えて摂ることが大切ですね。