多くのスポーツのシーズンが終わるこの時期、アスリートの話題はトレーニングが中心になりますよね。
その話題を提供しているのは、本人、チームのSNSなど、そして従来からのテレビや雑誌などでも知ることができると思います。
それ以外によくあるのは、トレーニングの指導をしている運動指導者が自分のSNSにあげているケースです。
ところで、運動指導者が「このアスリートは私が指導をしている(させていただいている)」と、言えるのはどんな関係性の時でしょうか?そのような視点から情報をみていただくと、わかることがありますよ。そして、今回のブログでは、指導をお願いする側をアスリートとしていますが、全ての人が当てはまります。
特定の人を自分が指導をさせていただいている(している)と言えるのは
運動指導者が、特定の人を自分が指導をしていると言えるのは以下の2つの条件が揃っている時と考えます。
- 長期的に継続して指導をしている
- 何らかの形で週1回は関わっている
このどちらが欠けていても、私が指導しているという言葉を使うのは恥ずかしいことです。
なぜなら、これは適切なトレーニングを実施することと密接に結びついているからで、この2つを軽視しているといことは、トレーニングのリテラシーがないと言わざるをえないからです。
長期的に継続して指導をしている
数週間や数ヶ月では、指導をしているというのは微妙です。
微妙と書いたのは、長期継続を前提としての最初の数週間、数ヶ月というケースは、内容にもよりますが明確な変化を起こすには時間的に短く、続くかも分からないため明確には判別できない期間だからです。
分かりやすい例は、野球選手やサッカー選手がチームを離れている自主トレの間だけ指導しているケースです。
この自主トレの期間というのは、選手はトレーニングをする必要があるけれど見てくれるコーチがいないのは困るという時期なので、誰かがアドバイスをせざるを得ない時期とも考えられますので短い期間だけというのは仕方がない部分もあるかとは思います。
それを理解していると、少なくともその間に頼まれたコーチが「俺が指導している選手」のような投稿をSNSなどにしていたら、微妙だと考えて間違いありません。
この辺りのことは、SNSではチーム側の運動指導者の立場の人からの苦言も散見されますので、誰を信じるではなく、そのような視点でSNSを利用してみると気が付くことがあるかと思います。
何らかの形で週1回程度は関わっている
スポーツは同じ場所だけで1年間試合や練習をすることは稀で、試合や合宿など各地を転戦するのが一般的です。そのため、全ての遠征に帯同できる環境にない限り、選手を直接指導することはできません。
そうすると、チームもしくは個人に専属で指導を行う前提の指導者しか出来ないことになりますが、それ以外にも運動指導者として選手をサポートすることができます。
選手が望んでいるというのが前提ですが、トレーニングについて意欲とリテラシーがある選手であれば、シーズン中もトレーニングを実施します。そのために、年、月、週でのトレーニング計画や実際の細かいプログラムを作成できるのが運動指導者です。
つまり、直接指導が出来ない場合でも、1年を通して自分が指導する範囲のトレーニングの内容を全て把握し、責任を持って作成しているということが必要です。そして、スマホとSNSなど普及がこのようなサポートをする手段に役立っています。
週1回、選手からトレーニングの様子を撮影した動画を運動指導者に送り、運動指導者はそれを確認してフォローをする。
もちろん、このやり取りが出来る前提は直接の指導を繰り返すことで、基本的な部分の理解がお互いに出来ていることが前提になりますが、「私が指導をしています」と言えるためには、このような継続した関わりがあってこそ言えることです。
長期的に指導していると言っても「毎年8月と12月」を5年続けても、お付き合いは長期かもしれませんが、トレーニング指導を長期にしているとは言えません。
どちらも適切なトレーニングに必要なこと
上にあげた2つは、適切なトレーニングをするための大前提です。
試合が無い時期は、体づくりのためのトレーニングに時間を多く取れる時期ですし、取るべき時期でもあります。
そして、試合が始まっても試合期に合ったトレーニングを続けることが必要です。
| 試合が無い時期 | 体づくりのため(競技に合い、健康)のトレーニング |
| 試合の時期 | 試合のためのトレーニング |
アスリートだからトレーニングに詳しいわけではない
ただ、アスリートの中にも、まだまだ試合が始まるとトレーニングを止めてしまう、疎かになるという選手もいるのも事実です。特に個人で活動をするゴルフのような競技の場合は、トレーニングをするかしないかも全て選手次第です。やる気があり自分だけでは出来ないのと、運動指導者に依頼するのですがこの時に、アスリート側が先ほどの2つを前提にしていないと間違いが起きる可能性があります。というのも、トレーニングの枝葉の指導を短期間だけ受けて、継続してやるかやらないかは別の話になってしまうからです。
トレーニングについては、相手がプロのアスリートでも違うと言えること
本来、運動指導者は、適切トレーニングに対する考えをまだ持つことができていないアスリートに指導を頼まれた場合、実際の細かいトレーニングの指導する前に、正しいトレーニングへの取組み方をアドバイスする必要があります。
ただ、アドバイスしたアスリートがその考えを全面的に受け入れるとは限りませんので、運動指導者は判断に迷ったり、指導をしながら少しずつ理解してもらおうと考えたりすることはあると思いますが、このような状態の時にSNSに「私はXX選手の指導をしています」とはあげられるような関係性ではないことは言えます。
指導者がトレーニングを理解しているかが分かる
試合がない時期だけ、パフォーマンスが落ちた気がする時だけ、相談にくるアスリートにアスリートの考え(間違えた)を修正せずにアドバイスをすることは、結果的にその運動指導者自身が、トレーニングの大切な要素である(計画的に継続して実施する)を理解していないと取られても仕方がない行動をしていることになりますね。
